エッセンシャルオイルを知ろう。

エッセンシャルオイル( 精油、アロマオイル)は、香りを持つ芳香植物からとれる芳香性・揮発性の高い有機化合物で、人間の体に強い作用を持っています。

世界に芳香植物は3500種類あり、その中でもエッセンシャルオイルの採れる植物は200種ほどです。

これらの植物の花、枝や茎、果実、種子、樹脂と様々な部分から独自の方法で取り出されます。また同じ植物でも、取り出される部位の違いによって、エッセンシャルオイルも異なります。

芳香植物の葉の表面には、目には見えませんが、小さな球状の玉がたくさん並んでいて、その中に香りの成分が入っています。この玉は「油胞」と呼ばれます。

葉をこすると油胞がやぶれ、中に入っていた香りの成分が蒸発し、芳香が広がります。
エッセンシャルオイル(アロマオイル)は、油胞の中に入っている香りの成分の集まりなのです。

エッセンシャルオイルの抽出方法

エッセンシャルオイルの抽出方法はいろいろあり、一般的に使われる方法は、水蒸気蒸留法です。
現在アロマセラピーで使われているエッセンシャルオイルは、90%以上この水蒸気蒸留法で抽出されています。

また、植物の自然な状態にかなり近い形で精油を抽出できる二酸化炭素抽出法についても紹介します。

・二酸化炭素抽出法(CO2 Extract)

原料の植物をパックし、二酸化炭素を注入します。
一定まで温度を上げることで、二酸化炭素を気化し、植物全体に行き渡らせます。

それから、二酸化炭素に高圧をかけ、二酸化炭素を液体化し、植物エキスを抽出します。
再び二酸化炭素を気化し、抽出物から二酸化炭素を取り除きます。

この方法は、比較的新しい方法で、植物香料やコーヒーのカフェインを抜くため、またタバコの抽出などに使われていました。
重厚な設備が必要なため、生産業者が少なく、流通価格も高めです。

この方法の利点

1.溶剤を使用しないため、オイルに溶剤が残留しない。
また、CO2を行うことにより、植物に残留している殺虫剤、またその他の溶剤なども除去することができる。

2.水蒸気蒸留法よりも低温抽出のため、抽出過程での成分変化が少ない。

3.水蒸気蒸留法では抽出されない成分も抽出される。天然の香りに近く、純度の高い精油が抽出されます。

・水蒸気蒸留法(Distillation)

植物の葉、小枝、花、樹皮など植物材料の下から、水蒸気をあてて熱し、油胞の中の香りの成分を蒸気にして取り出します。
この蒸気は集められて、冷却され、最終的に集められた液体はエッセンシャルオイルと水の混合物で、オイルと水分の比重の違いから、自然に2層に分離します。

エッセンシャルオイルは水よりも軽いので上部に集まり、下の層の水は芳香蒸留水(ハーブウォーター)で、化粧水などに利用されます。

・圧搾法(Expression)

レモングレープフルーツオレンジなどの柑橘系のエッセンシャルオイルを抽出する方法です。
柑橘系の植物は、芳香成分を果実の皮にある油腺に含んでいるため、水蒸気蒸留法ではなく果実の皮をつぶす圧搾法によって抽出されます。

昔は人の手によって抽出されていましたが、現在は機械で果実を丸ごと押しつぶし、それから蒸留され、エッセンシャルオイルが取り出されます。
正確には圧搾法により取り出されたオイルは、エッセンスと呼ばれます。

・溶剤抽出法、アブソリュート(Absolutes)

この方法は、ジャスミンなどデリケートで水蒸気蒸留法による抽出では香りの成分が変化したり、飛んでしまったりする植物に使われます。

石油エ-テル、ヘキサン、ベンゼンなどの揮発性の化学溶剤の中に植物原料を漬けこみ、かく拌することによって、香りの成分を抽出する方法です。
この方法でとったオイルはアブソリュートと呼ばれ、水蒸気蒸留法のエッセンシャルオイルとは区別されています。

例えば、バラの花からとった場合、水蒸気蒸留法のものは最上級の「ローズオットー」となりますが、アブソリュートの場合「ローズアブソリュート」と呼ばれます。
アブソリュートにはほんのわずかですが、溶剤が残っている可能性があるため、肌に直接塗るスキンケアやマッサージにはあまり向かず、香水などに使われることもあります。

昔は、デリケートな植物の抽出にはアンフラルージュという方法が取られていました。
ガラス板に精製した脂肪を塗り、その上に摘み取ったばかりの花びらを広げ、脂肪が香りの成分を吸収しきれなくなるまで花びらを新しいものを取り替えていきます。
そして、香りの成分が脂肪に十分吸収されたら、脂肪を集めこの脂肪をポマードと呼びます。

それからこのポマードにアルコールを混ぜて、脂肪とエッセンシャルオイルに分離させます。この製造方法はフランスで人気でした。
しかしこの製法はあまりにも手間がかかるので、現在はあまり行われていません。

エッセンシャルオイルの成分

エッセンシャルオイルは通常、数百種類の化学成分から構成されているとても複雑な物質です。
ひとつひとつの化学成分がそれぞれのエッセンシャルオイルの特性を作り出しています。

エッセンシャルオイルに含まれる化学成分は、一般的に炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の三つの元素が主となり、これらの元素の結びつきによって下のようなグループに分類されます。

・炭化水素類
・アルコール類
・エーテル類
・オキサイド類
・アルデヒド類
・ケトン類
・フェノール類
・クマリン類
・エステル類

それぞれの成分には、有効性もまたは毒性もありますので、アロマセラピーを行う時にはそれぞれのエッセンシャルオイルにどのような成分が含まれているかを調べ、適正な使い方を
することが重要です。

エッセンシャルオイルの様々な働き

エッセンシャルオイル (アロマオイル)は、人体に有効なたくさんの成分を持っています。
具体的にはどのような効果をもたらすのでしょうか?

「リラックス効果」
ストレス、イライラなどの心身の緊張を和らげ、穏やかでくつろいだ気分にさせます。
心配事があるときや、仕事が溜まって心があせっている時、夜、眠れない時などに効果的です。

「リフレッシュ効果」
やる気が起きない時や集中力が低下してきた時に、心身をすっきり目覚めさせリフレッシュさせます。

「免疫力アップ」
抗菌作用または感染に対する抵抗力を高める働きがあります。
花粉症やのどの痛み、インフルエンザの予防に効果的です。

「ホルモン分泌調整」
ホルモンの分泌のバランスを整えます。
月経前症候群や更年期障害などに効果的です。

「消化器系の調整作用」
消化器系の機能を調整するとともに、身体の調子を正常化する働きがあります。
食欲不振や食べ過ぎなどによる胃のもたれに効果的です。

その他、殺菌作用、殺虫作用、デオドラント作用、消毒作用など80項目以上もあります。

エッセンシャルオイルの保管方法

エッセンシャルオイルの質を悪化させるものは、光と熱と酸素です。
特に太陽光は、エッセンシャルオイルの劣化を早めます。

必ず買ってきたそのままの遮光ビンに入れて日の当たらない冷暗所で保管してください。
マッサージオイルなどブレンドしたものも、遮光ビンに入れて保管してください。

また、エッセンシャルオイルは揮発性が高いので、ふたを開け放しにしておいたり、暖かい部屋に置いておくとすぐに蒸発してしまいます。
必ずビンのふたをきちんと閉めるようにして下さい。

エッセンシャルオイルは、一度ふたを開けると、成分が少しずつ変化します 。
だいたい2年ぐらいが使用可能期間です。
柑橘系などのオイルは、香りの成分が変化しやすく1年ぐらいしかもちません。
反対に、サンダルウッドなど樹木系のオイルは、年を重ねるほど成分が熟す傾向があるので、2年以上だいたい3年ぐらいにわたって使用できます。

エッセンシャルオイルも鮮度がよいものが一番なので、少ない量をこまめに購入する方がいいと思います。
また、少しでも香りが変だと感じたら、スキンケアやマッサージなどに使わず、お掃除などにお使いください。